社長とタックスヘイブンにある怪しげな謎ファンドがその保有株のほとんど(発行済株式総数の73%)を売り出し、当初から上場ゴールだと囁かれていたベイカレントコンサルティング(6532)。
今年の9月2日に上場したばかりの会社なのですが、その3か月後の同年12月9日に通期業績予想を大幅下方修正&代表取締役社長である萩平和巳氏辞任のお知らせを発表するという、IPO史上稀に見る凶悪な事案が発生…。
名実ともに華麗なる上場ゴール銘柄の誕生となりました。
ベイカレントコンサルティング、上場ゴールを決めるまで
コンサルティングとカッコイイ名前がついていますが、その実態は技術者人材派遣屋。ググってみると、ブラック企業だとかなんとか不穏なネタが多数見受けられますが、ここでは触れないこととします。
上場前
仮条件価格2,100~2,360円のところ、公募価格は2,100円に決定。上場前から不人気銘柄であったことが分かります。それもそのはずで、金額にして318億円というマザーズ市場としては巨額の売り出し数量で需給バランスは最悪。しかも、売出人にはタックスヘイブンにある怪しげなファンドが名を連ねているので、誰がどう見ても上場ゴール目的にしか見えませんでした。
上場後に株価が上昇していくビジョンを抱いていた人間はごくわずかだったのではないでしょうか。
上場日の株価推移
公募価格が2,100円だったところ、初値は1,963円、高値1,999円、安値1,910円、終値は1,927円…と散々な結果に。利益を得たとしても最大で40円程度の幅しか取れなかったわけで、「参加したら負け」のクソ相場となってしまいました。
その後の株価推移
こちらはその後のチャート。チャート終端は12月9日。
上場日以後も凄まじい勢いで下落。反発する局面もありましたが、結局は公募価格にかすりもせず再度下落。ここ最近は1,500円前後をウロウロする展開でした。
通期業績大幅下方修正&社長辞任
12月9日引け後、ベイカレントコンサルティングに異変が。
10月より営業部門を含む内部体制の変更を行い、高付加価値案件を担当できるコンサルタント数を確保するため、継続的に安定的な収益を見込んでいた受注を急激に制限して、新規の高付加価値案件獲得を目指しましたが、それに見合った高付加価値案件の受注を急激に獲得することができなかったため、既存得意先との取引が縮小し、年間を通じた稼働率は80%程度となる見込みです。
本日開催の取締役会にて、代表取締役社長萩平和巳より、業績悪化の責任を取り、また、早期の業績回復に向けた経営体制及び人心の刷新のため、代表取締役社長及び取締役の職を辞任したい旨の申し出があり、当社取締役会は辞任を受理し、2016年12月9日付で辞任しました。
まさかの業績下方修正&社長の萩平和巳氏辞任。
業績予想下方修正と社長辞任の理由を見てみると、もっともらしいことが書いてあります。しかし、冷静に考えると上場してからまだ3か月なんですよ。いくらなんでも早すぎます。
上場時の売出人構成と膨大な売り出し数量を合わせて考えると、「上場ゴール目的の上場」と言われても仕方がありません。上場時の業績予想には下駄を履かせておいて高値で売りさばく。そして、適当なタイミングで業績予想を修正して上場ゴールの仕上げは完了。社長がリタイアすることまで含めて、上場当初からこんなシナリオを描いていたのではないでしょうか。
業績予想下方修正と社長辞任発表後の株価
このクソ材料は12月9日(金)の引け後に開示されましたので、ベイカレント株ホルダーは最悪の週末を過ごしたことでしょう。
当然、翌週月曜日12月12日のベイカレント相場は混乱。大量の売りが殺到しストップ安へ。終値は前日比△300円の1,155円でした。その翌日12月13日も売り注文は消えることなく、気配値はストップ安へ直行。13日の終値は前日比△300円の855円に…。
わずか2営業日でベイカレント株は40%を超える下落となってしまいました。うーん、恐ろしい。
ちなみに、13日引け後のPTSを見てみると854円で取引を終了しています。さすがに14日には寄り付くと思いますが、果たしていくらで売買が成立するのか、注目です。
余談:ベイカレントの総資産の3/4はのれん
ベイカレントコンサルティングの総資産25,276百万円、うち19,187百万円はのれんwww
— taj88 (@taj88) December 13, 2016
IFRSだからのれんの償却は無いだろうけど、そのうちとてつもない金額の減損が起こりそう。怖い怖い。
— taj88 (@taj88) December 13, 2016
ベイカレントコンサルティングの貸借対照表(平成29年2月期第2四半期決算)を見てみると、19,187百万円という巨額ののれんが計上されていて笑えます。総資産25,276百万円なので、総資産の3/4をのれんが占めているということにwww
「のれんとは何ぞや」という話は少し難しいので詳しい話は省略しますが、のれんは買収企業時価評価額と買収価額の差額(買収プレミアム)であり、換金価値のない擬制的な資産です。仮にのれんを無視すると、資本の部は合計で12,188百万円しかないので、6,999百万円の債務超過となりますw
ベイカレントコンサルティングはIFRSを適用しているため、のれんを毎期償却する必要はありませんが、その反面、毎期減損テストを実施する必要があります。そのため、今後、巨額ののれんを正当化するだけの収益力を維持することができなければ、相当な金額の減損損失を計上することになるでしょう。
投資対象としては全く興味はありませんが、巨大なのれんの行く末は一体どうなるのか、そういった意味でベイカレントには今後も注目したいと思います。
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