タワーマンションを利用した相続税節税にメス、何が問題だったのか?

政府・与党は20階建て以上の高層マンションについて、高層階の固定資産税と相続税を引き上げる。2018年以降に引き渡す新築物件が対象。一方で低層階の税負担を軽くする。高層階の部屋は取引価格が高いわりに税金が安く、富裕層の間では節税策として購入する動きが広がっていた。

「タワマン節税」けん制、高層階は増税へ:日本経済新聞

以前から課税の公平性の観点で問題が指摘されていたタワーマンションの相続税について、ようやくメスが入るようです。

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マンションの相続税評価額について

相続税の税額は、相続する財産の評価額(相続税評価額)を基に計算されます。

タワーマンション節税を考えるにあたっては、マンション一室の評価額がどのように算定されるのか理解しておく必要があるでしょう。

マンション建物部分の評価額

マンションの建物部分の評価額には、他の建物と同様に各市町村が決定する固定資産税評価額(固定資産税を課すためのベースとなる金額)を用います

ここで重要なのが、その固定資産税評価額がどのようにして計算されているかということです。

地方税法の規定では、区分所有に係る家屋に対する固定資産税・都市計画税の課税は、区分所有に係る一棟の家屋を一括して評価のうえ、当該家屋の税額を算定し、その税額を各々の区分所有者に配分し、その額を各区分所有者の納付すべき税額とするものとされています。

区分所有家屋について | 固定資産税(土地・家屋) | 市税 | くらしの手続き | 西宮市ホームページ

簡単に言うと、マンション全体の評価額を各住戸の専有面積に応じて按分することになっています。(このページは西宮市のものですが、どの市町村においても取扱いは変わりません)

つまり、各住戸の専有面積が同じであれば、同一マンションの1階の部屋と40階の部屋の評価額は変わらないということになります。

マンション土地部分の評価額

マンションの一室の評価額を考えるにあたっては、建物部分だけでなく土地部分も考慮しなくてはなりません。

土地部分の評価額は、マンションの土地全体の評価額を計算し、建物の場合と同様に各住戸の専有面積に応じて按分して求めます。(この計算には2種類の方法があり、固定資産税評価額を基準に算出する倍率方式と路線価を基準に算出する路線価方式があります)

現行の取扱いはタワーマンションには適さない

タワーマンション、特に高層階に住むメリットの一つとして眺望の良さが挙げられます。そのような点を考慮して、タワーマンションの低層階の部屋よりも高層階の部屋のほうが高い販売価格が設定されています。見方を変えれば、低階層の部屋よりも高階層の部屋のほうが価値が高い、ということが言えるでしょう。

ところが、先ほど確認したように、評価額の計算方法は専有面積を基準に按分する方式を採っているため、専有面積が同じであればその部屋が低階層にあろうと高階層にあろうと同じ金額になってしまう、というものでした。

つまり、現行の取扱いでは、高階層(高価値)の部屋を持っているとしても、低階層(低価値)の部屋を持っている人と同等の税負担で済んでしまうので、課税の公平性の観点で問題があると言われているわけです。

今後の税制改正について

この問題を解決するためには、いくつかのアプローチがあると思いますが、固定資産税評価額の算出方法(按分方法)を見直すのが有力なのではないでしょうか。固定資産税評価額の算出方法を見直せば、固定資産税と相続税双方の問題を解消することができます。

ただ、見直しも簡単ではなく、「階数と市場価格は必ず比例するのか」「何階以上を見直しの対象とするのか」「階数以外の要素は考慮しないのか」というように、新たな問題が浮かび上がってきます。

「何階以上を見直しの対象とするのか」ということについては、現在のところ20階以上を対象にする話があるようです。ところが、このようなラインで区切ってしまうと、20階よりも19階の市場価格が高くなってしまうことも考えられます。

制度設計についてはいろいろと悩ましい点もあるでしょうが、細かい点についてはこれからの議論で固まっていくこととなります。今後も総務省・国税庁の動向に注目したいと思います。

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