デタラメな「マイナンバー制度によりホステスの副業がバレる」というニュース

賛否両論のマイナンバー制度でございますが、すでに通知カードの発送を開始した自治体もあるようで、11月末までには全ての自治体において発送が行われるそうです。今後、マイナンバーを利用して自らの個人情報を扱う行政サービスが拡充していくと思われますので、他人に知られないように気をつけてください。

「マイナンバー制度で会社に副業がばれたらまずい」
大阪・梅田のスナックで働いている30代のホステスはため息をついた。昼間は大阪市内の保険会社で働き、会社に内緒で週に2、3日、スナックでアルバイトをしている。月数万円のバイト代は現金で手渡しされるため、確定申告もしていない。

マイナンバー:きょう施行「副業ばれる」ホステスら困惑も – 毎日新聞

ところで、最近、上記記事のような「マイナンバーで税務署に副業がバレる!」とか「ホステス激減か!?」という内容のニュースをちらほらと見かけます。

しかし、結論から言うとコレは嘘です。マイナンバーが導入されたとしても今と何ら変わることはありません。「ホントは分かっているけどミスリードを誘う記事」もありますが、中には理解せずに書いているであろう記事もあったりするので、私の勉強も兼ねて整理してみたいと思います。

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現在、税務署等はどのようにホステスに支払われた報酬についての情報を得ているか

ホステスなどに支払われる対価は、一般的に給与とは異なるとされ報酬として取り扱われています(給与と報酬の区別については、実質的な雇用関係があるか否かで判断することになりますが、ここでは論じません)。

そのような報酬が支払われた場合、ある条件の下、報酬の支払者はその金額等を記載した「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を税務署に提出する必要があります。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲は、次のようになっています。
(1) 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの

No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数|法定調書|国税庁

つまり、ホステスとして働き年間50万円超の報酬を得た場合には、税務署にその情報が伝わることになります(中には、そもそも支払調書の提出をしない悪質な事業所もありますが・・・)。ですから、確定申告で納付税額が発生するにも関わらず、申告を怠った場合などは税務署から指摘を受ける可能性があります。

法定調書とマイナンバー制度

ホステスへの報酬に係る法定調書については、なんとなく理解していただけたと思います。

さて、マイナンバー制度がスタートしてから法定調書に関する手続はどのように変わるのでしょうか。・・・実は、法定調書にマイナンバーが記載されるようになるだけで、税務署等に伝わる情報はこれまでと全く変わりません。

ですから、上記の毎日新聞記事にあるような「マイナンバー制度によりホステスの収入が税務署側にバレてしまう」という指摘については、そもそもマイナンバー制度導入以前より法定調書の提出は行われているのであり、さらに無申告であること自体がダメなわけで、マイナンバー制度は全く関係がないということになります。

マイナンバー制度により勤務先に副業がバレるのか?

次に、「マイナンバー制度により勤務先に副業がバレるのか」ということについてですが、この点についてはそもそもこの話に無関係なマイナンバーを出すこと自体が間違いなのです。

勤務先に副業がバレる原因だと言われているのは、給与から差し引かれる住民税の金額の多寡によるものです。給与を支払う事業者には毎年5月頃に特別徴収税額の通知書が送られます。この通知書には、従業員ごとに毎月の給与から差し引くべき住民税の金額が記載されています。

住民税の金額は前年の所得に応じて計算されますので、仮に、同水準の給与を与えている2人の従業員が居るとして、その2人の住民税の金額に大きな差がある場合には、一方に「別の収入がある」という推測ができるわけです。ですから、前述の通りマイナンバー制度は全く関係がありません

余談ですが、別の収入があるからといって副業を行っている、とは限らないですよね。例えば、不動産からの収入。そりゃ、積極的に土地建物を買ってリフォームして貸し出すとかやってたら副業と言えますが、利用していない手持ちの土地や建物を貸す程度であれば副業とは認められないでしょう。

とはいえ、「別の収入がある」という推測をされるだけでも嫌ということであれば、確定申告書の「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」の欄において「自分で納付」にマルを付けましょう。そうすると、給与以外の所得があったとしても、給与から差し引かれる住民税の金額に影響を与えません。

※所得税の確定申告書第2表の右下部分

まとめ

税務署・勤務先にバレるかどうか、マイナンバーは無関係。申告書には「自分で納付」にマルを。