Jリーグ監督・選手30人分の消費税未納問題について思うこと

サッカーJリーグに所属する外国人監督や外国人選手約30人が2012年までの4年間で、日本で得た契約金や報酬にかかる消費税を申告していなかったことが10日、会計検査院の調べで分かった。関係者によると、町田ゼルビアのランコ・ポポビッチ元監督(47)や鹿島アントラーズのダビ選手(30)らが含まれ、未納額は計数千万円とみられる。国税庁が放置した形になっており、検査院は改善を要請した。

消費税未納:Jリーグ監督・選手30人分 国税庁放置 – 毎日新聞 (魚拓)

Jリーグ監督・選手が消費税を納めなければならないのにもかかわらず納めていなかった、ということが報道されておりました。ネット上を見ると色々と誤解されている人も居るようですし、各報道機関の記事を見て思うことがいくつかありましたので、それを書き綴ってみようと思います。

スポンサーリンク

消費税の仕組み

まず、プロスポーツ選手はサラリーマンとは違い、雇用契約に基づく労働者ではないので個人事業主となります。(ちなみに、所得税の申告においては、プロスポーツ選手が受け取る契約金等に係る所得は事業所得に該当します。)

個人事業主の場合、基準期間(2年前)における課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税の申告義務が生じます。「課税売上高」という言葉については説明すると長くなりますので、「プロスポーツ選手の契約金や報酬は課税売上高に該当する」ということだけ把握しておいてください。

たとえば、平成24年分の課税売上高が1,000万円を超えている場合、26年分については消費税の申告が必要です。

これはさらに高度な話になりますが、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていなくても、前年の1月から6月(特定期間)の間に課税売上高および給与等支給額のいずれも1,000万円を超えていれば消費税の申告が必要となります。ただ、プロスポーツ選手の場合には関係無いと思いますが。

論点

会計検査院の指摘

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出しなければならない方は、外交員報酬、税理士報酬など所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金の支払をする方です。

No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数|法定調書|国税庁

会計検査院が指摘した問題点は、法定調書(上記国税庁のページ参照)に書かれた報酬支払先(選手)の住所データが国税庁から税務署にうまく回っていなかった、ということ。外国の住所のため所轄税務署を特定することができなかった・・・というよりは、所轄税務署が分からないのでそのままになっていたんじゃないかなぁと思ってます。

他にも無数のデータがあるわけで、こういうデータをひとつひとつ調べて補正していくというのは実際問題無理な話でしょう。今後、法定調書には日本での住所を書いてもらうようにする必要があるのではないですかね。

「税務署はちゃんと課税しろ」?

報道によれば「約30人の契約金や報酬は総額約9億8,000万円」で未納額数千万だそうです。プロスポーツ選手がどれだけの経費を使うのかは分かりませんが、仮に9億8,000万円の報酬に対して40%の課税仕入(≒経費)があったとすると、980,000,000×(1-40%)×(5/105)=28,000,000円の税額となります。まぁ、こんなもんですかね。

ネット上を眺めてみますと、「税務署はちゃんと課税しろ」という内容のコメントが散見されます。が、そう単純な話でもないのかなと思います。

そもそも、我が国の消費税の制度は申告納税制度になっており、あくまで納税者自身の申告がベースとなるわけですよ。ですから、一次的には納税者にその責任があります。そして、無申告や不納付があった場合には、税務署の出番・・・となるわけですが、税務署のリソースも有限ですから全ての無申告や不納付を是正することは不可能。

リソースが有限である点は、課税庁も理想と現実の狭間で頭を悩ませていることだろうと思います。みなさまも、消費税の申告は申告納税方式であることを今一度確認していただき、適正な申告納税を行っていただければと思います。