個人事業主(フリーランス)の所得税&消費税確定申告に関する開業時届出等

2014年も過ぎてしまえば早いもので残り3ヶ月となりました。ネット界隈を眺めていますと、個人の確定申告ネタがちらほらと出てくる時期であります。

しかしながら、その内容を見てみますと「おまえ申告したことあるのかよ?www」と突っ込みたくなるようなひどいモノがちらほらと見受けられます。

そこで、自分の頭の整理も兼ねて、個人事業主の所得税・消費税の確定申告に関して注意すべき点をまとめてみることとします。ただ、一度にまとめて書くのはあまりにボリュームが多くなってしまいそうなので、まずは第1弾ということで開業時に必要な税務上の届出についてまとめてみます。

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個人事業の開業届出書

[概要] 新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続きです。

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|申告所得税関係|国税庁

開業届出書については、事業開始から1月以内に提出することとなっています。提出しなかったからといって罰則規定などはありませんが、ちゃんと提出しましょうね。青色申告を行う場合には、青色申告承認申請書とセットで提出することなります。

都道府県・市町村についても開業届を提出しなければならないのですが、確定申告を済ませれば自動的に通知が来ますので無視しても問題ありませんw

所得税の青色申告承認申請書

[概要] 青色申告の承認を受けようとする場合の手続きです。

[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|申告所得税関係|国税庁

青色申告を行う場合には、忘れずに提出してください。注意すべき点は提出期限で、青色申告をしようとする年の3月15日まで、あるいは、開業から2月以内となっています。当然ですが、1日でも遅れると認められません。例えば、平成26年分から青色申告をする場合には、平成26年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出している必要があります。

正規の簿記の原則に従い記帳し貸借対照表と損益計算書を添付すれば、65万円の青色申告特別控除を受けることができます(添付しない場合は10万円の青色申告特別控除)。詳しい説明は省きますが、その他のメリットとしては、純損失の繰越し控除・繰戻し還付が可能であること、一括評価による貸倒引当金、推計課税による更正・決定を受けないこと等があります。さらに、平成26年1月から白色申告の場合であっても無条件に記帳と帳簿書類の保存が必要になりましたし、できるだけ青色申告を行うことをおすすめします。

また、貸借対照表と損益計算書を添付するか否かについてですが、これは自分の簿記会計スキルを勘案して決めてください。青色申告特別控除の金額に税率を掛けた分だけ税負担が軽減されることになりますので、課税所得がある程度出る場合にはできるだけ控除額65万円になるように頑張ったほうがいいと思います。

その場合には、素直に青色申告用のソフトを購入することをお勧めします。仕訳帳や伝票等への入力により自動的に総勘定元帳等の各種帳簿が作成されるので非常に便利です。

給与支払事務所等開設/青色専従者給与に関する届出

[概要] 給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設、移転又は廃止した場合に、その旨を所轄税務署長に対して届け出る手続です。

[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|源泉所得税関係|国税庁

[概要] 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合の手続きです。

[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続|申告所得税関係|国税庁

従業員に給与を支払う場合には給与支払事務所等開設の届出が必要となりますので忘れずに。また、青色申告者が生計を一にする親族に給与を支払う場合は、別途青色専従者給与に関する届出を行わなければ必要経費として認められません

青色専従者給与に関する届出書の記載内容については、仕事内容に見合った支給金額を記載するようにしてください。画一的に判断はできないのですが、たとえば、週に5日間1日あたり数時間の事務作業を行う専従者に月額100万円の給与を支給する、といったように過大な給与を設定すると税務署に怒られる可能性が高いです

また、届出書に記載した支給額の範囲内でしか必要経費として認められないので、あまりに低い金額を設定するのも避けてください。常識の範囲内で、若干高めの金額を記載すれば良いでしょう。

消費税課税事業者選択届出書

[概要] 免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続です。

[手続名]消費税課税事業者選択届出手続|消費税|国税庁

消費税について、素人が高度なことをしようとすると大爆死することとなりますので手出し無用。素直に専門家にお願いすることをお勧めします。しかしながら、これも重要な書類ですので紹介しておくこととします。

我が国の消費税の仕組みを簡単に説明すると、原則として2年前の事業年度(基準期間)の課税売上高(一般に言う「売上高」と少し違います)が1,000万円を超える事業者は課税事業者となり、預かった消費税を納める必要があります。たとえば、平成24年の課税売上高が1,000万円超の場合、平成26年分については消費税の申告が必要となります。

このように、消費税の申告が必要か否かは2年前の課税売上高を基準に判断しますので、通常であれば開業してから少なくとも2年間は消費税の申告は必要ありません(特定期間の話は省略)。

では、消費税を納めなくて良い免税事業者があえて課税事業者になることを選択するこの届出書には、どのような意味があるのでしょうか。まずは消費税の納付税額の計算方法を簡単に説明することとします。

消費税の納付税額は基本的に、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた差額となります。消費税率が8%として商品を税込108,000円で仕入れて税込324,000円で販売した場合、預かった消費税は24,000円、支払った消費税は8,000円となり、これ以外の取引は無かったとすれば、納付税額は24,000円-8,000円=16,000円と計算されます。

この例を少し変更して、消費税率が8%として商品を税込108,000円で仕入れて、そのうちの1/4を税込81,000円で販売した場合はどうなるでしょうか。この場合は、預かった消費税は6,000円(81,000×8/108)、支払った消費税は8,000円となり、納付税額は6,000-8,000=△2,000・・・マイナスになってしまいました。このような場合、課税事業者であればこの2,000円について還付を受けることができます

開業時、例えば最初の2年で大規模な設備投資等を予定しており、消費税の還付を受ける場合には、開業初年度に消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があるというわけです。ちなみに、先ほどの例に「税込1,080万円の機械を取得も行った」という条件をプラスすると、還付金額は80万2,000円になります。

(説明の都合上、細部をかなり省略しています。消費税課税事業者選択届出書は開業初年度だけでなく、それ以後に課税事業者を選択する場合にも使用します。さらに、消費税課税事業者選択届出書を提出して敢えて課税事業者になると、必ず2年間は課税事業者を継続しなければなりませんので、売上が予測に反して急増した場合など結果的に無駄な税金を払ってしまうことにもつながります。課税売上割合の問題で、還付を受けることができないケースもあります。)

最後に

余談だったはずの消費税課税事業者選択届出書の説明が長くなってしまって申し訳ありません。繰り返しますが、素人が消費税の申告に関して、いろいろと手の込んだことをするとほぼ100%爆死することになりますし、還付に関して税務署は厳しくチェックします。素直に専門家に相談することをお勧めします。

さて、今回は開業時における税務上の届出についてまとめてみましたが、やはり重要なのは青色申告と青色専従者給与の届出ですね。青色専従者に関しては、実際に事業主の仕事を手伝っている人に給与を支給するようにしてください。事業主の仕事に携わっていないことが明らかになれば、税務署に怒られます。

とは言っても、税務署は雑魚を相手にしませんので、所得がそこまで多くない人に関しては無茶苦茶やっても案外何の問題も無かったりしますw
ただ、フルタイムでミッチリ働いている人を専従者に選択するようなアホなことはしないように。調査が行われるか否かは別にしても、100%バレますので。

所得税&消費税確定申告ついての記事第2弾は、気が向いたときに書きますので、またよろしくお願いします。